Top / QBlog / 2016-08-04

戸建て住宅の修繕と価値についてのデータ

今日は、不動産情報サービス会社のアットホーム株式会社が先週末に公表した「一戸建て修繕の実態」調査データを紹介します。

本調査は、政府が、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会への移行を進めている中で、全国の木造の新築戸建てを購入し、30年以上住んでいる50~70歳代の495名を対象に、今年の7月に行われたものです。

対象の平均築年数は35.8年で、その修繕に要した総額費用の平均は556万円となっています。
この平均総額費用を築年数で割ると、1年あたりの費用は15.5万円になり、さらに月割りにすると約1.3万円になります。

戸建て住宅は、分譲マンションのように修繕積立金制度はありません。しかし、平均的な修繕をするには、月額最低でもこれくらい(1.3万)は貯めておいた方が良いという指標になるデータです。
ちなみに、本調査では自ら修繕費用を積み立てていた人が9.9%と、約1割の方が積み立てをしており、その平均積立額は約1.6万円となっています。また、自宅の修繕費は毎月積み立てておくべきだと思う人は53.5%と、半数を超える方が積み立てておけば良かったと後悔していると考えられます。

不動産業者として個人的に気になったデータとしては・・・

売買現場でも査定額に多くな影響を与える場所でした。

★修繕した割合が最も多かった場所は「外壁」(84.4%)で、ついで「給湯器」(83.2%)、「トイレ」・「お風呂」(いずれも76.0%)、「屋根」(74.5%)と続きます。
→ご覧のとおりです。
予想通りの結果でしたんね。
外壁・給湯器・トイレ・風呂・屋根は築年数の古い住宅では、ほぼ修繕や交換をしていることを証明しています。この個所を修繕してある建物とそうでない建物ではやはり査定額も変わります。

その次に、予想に反して多かったものが雨漏り。

★自宅が雨漏りしたことがある人は44.6%
→約半数が雨漏りしたことになります。
雨漏りの被害が予想以上に多いです。雨漏りしていた新築戸建てが意外に多いことに驚きです。ただ、このデータは対象の平均築年数は35.8年と言うことですので、平成前建築の建物も多く含まれていると考えられます。また、建売住宅は新築後1年の間は何かしらのトラブルが有ることも多いんです。そのトラブルを解決する時間として売主の建物保証が有ります。この保証の間にトラブル解決して後雨漏りしていないのであれば問題ないでしょう。
ただ、買う場合は、必ずインスペクションサービス(建物診断)をその専門家に行って頂くことをコーラルはお勧めしております。

★シロアリ被害にあった経験のある人は24.6%
→マンションに無くて戸建て住宅にあるものがシロアリ害です。
こちらも4人に1人は被害にあっており、築年数が経過した住宅におけるシロアリ対策の重要性がわかるデータになっています。

最後に、不動産業者としてこのデータで最も気になったものは、木造一戸建ての寿命は何年くらいだと思うかです。

この中で一番多い回答が、50~59年というもの。しかも50年以上との回答は実に82.4%になります。

売買現場では未だに、購入者感覚として建物の価値はだいたい25年経過したものはもう価値がないと言われ、土地価格での売買となることが多くあります。

但し、所有者(売主)様は築25年くらいならまだまだ建物に価値が有ると考えておられます。

このギャップをどう埋めるのか?

政府が、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行することを目的にしているなら、このギャップを如何に埋めるのかの政策を次々打ち出してほしいものです。

その他、参考になるデータが簡潔にまとめられていますので、一度ご覧になっていただくことをお勧めします。

【アットホーム株式会社】
新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査
http://athome-inc.jp/wp-content/uploads/2016/07/2016072901.pdf



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