マンションが売れない原因がマンション自体にある場合、どうする!?

マンションが売れない原因では不動産仲介業者に99%原因があることを解説してきましたが、物件そのものが原因で売れない場合もあります。
どんなマンションが売れないかと言うと、「築年数が古い物件」や、「所在階が低層階のお部屋」、「立地が悪い」などのマンションです。
また「人気が低いエリア」、「間取りが時代に合わないか悪い」、「部屋の印象が悪い」「マンション自体に魅力が無い」など、売れない原因として考えられるマンション自体の要素はたくさんあります。

ここでは、このマンション自体の売れない原因を一度冷静になり、買い手の立場に立って、しっかり分析してみることによりそのことを解決できる方法まで考えてみたいと思います。。

では、以下では具体的な理由と対策について見ていきます。


★目 次【マンション自体に売れない原因がある場合】★


築年数が古い(築20年、築30年、築40年、築50年)のマンション

実は、築30年超えのマンションは、年々増加傾向にあります。

国土交通省が2018年に作成した資料によれば、2017年末時点の築30年以上(昭和63年以前)の中古マンション戸数は184.9万戸あると報告【平成30年5月24日・国土交通省】されました。
このうち築30年超40年未満が112万戸、築40年超50年未満が67.6万戸、築50年超が5.3万戸でした。
ちょうど昭和が平成に変わった年が昭和64年(平成元年)ですから、昭和以前に建てられたマンションは全て築30年以上になります。


築後30、40、50年超の分譲マンション戸数【平成29年末現在/平成30年5月24日更新】

立地が悪い(郊外、地方など)マンション

よく「マンションの価値は立地で決まる」とか「マンションの価値は立地条件がすべて」と言われます。
ここで言うマンションの価値とは一体何でしょうか?
簡単に言えば、「マンションの値段=いくらで売れるか」ということです。

「マンションの価値」=「マンションの値段」=「マンションがいくらで売れるか?」ですから、つまりは多くの人が欲しがるマンションがイコール価値が高いマンションとなることが容易に分かると思います。

「多くの人が欲しがるマンション」が価値の高いマンションだと書きました。
では、みんなが欲しがるマンションとはどんな要素をもっているのでしょう。

みんなが欲しがるマンションとは

『人気エリア』『交通の利便性が良い』『希少性』があるマンション、または、3つのうち一つでもあるマンションがみんなが欲しがるマンションと言われています。

但しここにはある条件が有ります。
それは、「将来どうか?」ということです。
過去、多くの人が欲しいと思った立地にあるマンションでも、今はもうほしいとは思えないマンションはたくさんあります。

将来的にも価値が落ちないマンションとは、「立地」が全てなのです。

『人気エリア』『交通の利便性が良い』『希少性』。この3つの要素はすべて立地で決まります。
地方とか、郊外でもこの『人気エリア』『交通の利便性が良い』『希少性』が有れば価値あるマンションとして十分に売れるでしょう。

ここで気を付けたいことは「あなたにとっていいマンション」と「みんなにとっていいマンション」は違う可能性があるということです。

あなたが売却するマンションは、他人の価値観ではなく、あなたの価値観で、つまり自分だけが良いと思うマンションなのです。
しかし、買い手はその価値観が良いとは思っていないかもしれません。

このことが分からないと、マンションを売却するときに「こんなに良いなのに、設備も外国製なのに、環境も静かで生活しやすいのに、どうしてこんなに安い値段になっちゃうの?」と思ってしまう方は非常に多いのです。

都心でも立地に良いマンションではない物件、言い換えれば『人気エリア』『交通の利便性が良い』『希少性』が無いマンションはなかなか売れずらいマンションになる可能性があります。

周辺に火葬場や刑務所などの嫌悪施設がある

「嫌悪施設」とは、その存在が周囲の人から嫌われる施設をいいます。
どの施設が対象となるかは主観的判断やイメージ、時代性もあって、一様ではありませんが、不動産ポータルサイトのホームズでは、不動産売却時の広告運用では以下のような施設と言っています。
1.風俗店など住宅地としての品格を下げるような施設
2.騒音、大気汚染、土壌汚染、悪臭、地盤沈下などを引き起こす公害発生施設
3.不快感・嫌悪感を与える施設(原子力関連施設、廃棄物処理場、下水処理場、火葬場、軍事基地、刑務所、ガスタンク、火薬類貯蔵施設など)

私たちが通常生活を送るうえで、その生活に何らかの支障を受けうるものとして取られておけばいいかもしれません。
周辺に反社会的勢力の事務所などがある場合も、多くの人にとっては近隣に嫌悪施設のあるマンションとされることもあるでしょう。

所在階(1階や2階、エレベータ無し4階や5階)のマンション

新築マンションの価格表をご覧になられた方は多いのではないでしょうか。
その価格表で一番㎡単価の低いお部屋が有ります。
それは1階ですね。
なぜ1階は一番㎡単価の低いのかは、マンション自体の特性や魅力にあるからです。
マンションに暮らすという事は、戸建てと違った快適性もあります。また防犯性が高いこともあります。プライバシーも守りやすいし、上階では眺望が良いという事もあるでしょう。
マンションは、同じ間取りタイプで広さも同じ場合、上の階にいくほど価格が高くなることが一般的です。
1階はマンションとしての防犯性も、眺望性も、プライバシーの保守も、上階にある眺望も一番低い場所と言えます。
ただ、最近のマンションは、設計上の工夫や立地条件によって上記のデメリットが薄れ、1階ならではの魅力を持つ物件も多数出ています。

1階のメリット・一戸建て感覚で暮らせる

1階には専用の庭がついているマンションが多いです。
この場合、一戸建てのように庭のある暮らしが実現できるというメリットがあります。
ガーデニングをしたり、子どもを自由に遊ばせたり、テーブルや椅子を置いて食事やお茶を楽しんだりする人もいます。
1階を敢えて買う人に多い理由は、1階には下階がないため横の部屋や上階に生活音が響くことはあるものの、2階以上の部屋のように足音に気を使わなくて済むことから子育て世代には好まれることでしょう。
またご年配の方のご購入も、マンションとしてのメリットを享受したまま戸建て感覚で住めるというメリットがあることがお気に召られる場合もあります。
しかも災害の際にも逃げやすく、地震が起きたときなどは上階と比較すると揺れが大きくないため、家具の転倒などの被害が抑えられる可能性のあることも支持され、敢えてマンションの1階をご希望される方もおられるので、1階だから即ダメという事にはならないでしょう。

間取りが悪い(間取が合わない、和室が多い、LDKが狭い)マンション

中古マンションでは、買い手は間取りを自由に変更できません。リフォームすればいいと思っても絶対に変更できない箇所があり制約があるものです。

また、大規模なリノベーションともなれば、費用は数百万円単位にもなります。

従って、どうしても間取りは重要度が高くなり、買い手の最も希望を叶えられる可能性のある間取であればあるほど受けが良くなるわけです。

そのため、マンションの間取りは画一的な個性が無い間取が採用されやすく買い手にとって受けが良くなるわけなのです。

一般的(画一的な個性が無い間取な間取)というのは、3LDKのマンションなどでよく見られる間取りで、万人受けするスタンダードな間取です。


画像の説明

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スタンダードな間取とは、家族構成や生活スタイルに偏りなく誰でも使いやすいデザインになっているものです。

1LDK、2LDK、3LDKには、それぞれそこに暮らす家族構成や求められる生活スタイルが基本に考えられていますが、しかし万人受けするスタンダードな間取でなければ売れないことになりかねないと言えます。

画像の説明

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つまり、個性的な間取り(=間取りが悪い)マンションはそれだけで「売れにくい物件」とも言えます。

趣味や嗜好が一致すれば即決してもらえる可能性は高くなりますが、個性的な間取であればあるほど成約率は下がるでしょう。

間取りが個性的(=間取りが悪い)マンションの例は以下のようなものになります。

○一般的には間取りが悪いと思われるマンションの事例
   家具の配置がしにくい
   1つ1つの部屋が狭い
   開口部が小さい
○今となっては間取りが悪いマンションとされる事例
   和室が多い
   LDKが狭い

管理コストが高い(管理費・修繕積立金が高い)マンション 

マンション が売れない原因に、管理費、修繕積立金が高すぎることがあります。
新築時には、売りやすさもあり修繕積立金は低く抑えられているマンションですが、一概には言えませんが築10~15年ごろを境にマンションの大規模修繕費は値上がりします。
タワーマンションなどでは5年ごとに値上がりするマンションもあります。
この値上がりが嫌われ、購入後の管理コストが高くなることが敬遠され、マンションが売れなくなっているのです。
修繕積立金は、将来のマンション修繕には欠かせない費用です。
しかし、目先の事を考えた時、その積立金が売るリスクを上げる原因となることも理解しておきましょう。

お部屋の印象が悪い

マンションを買うことは、多くの買い手とって一生に一度か二度ほどくらいしかないとても大きなイベントです。
人はそのような時に何を最も大事にしているかというと、まず真っ先に「第一印象」です。
お部屋の内覧は玄関で決まるとよく言われるのは、この第一印象を意識しているからにほかなりません。
買い手はマンションを内覧する場合、今後自分が住む場合のことをイメージしながら内見しています。
このとき、玄関に靴が散らかっていたり、家具や生活用品が所狭しと置いてあったり、家の清掃状態が悪かったりすると、この部屋での楽しい新生活のイメージがわきにくくなってしまうのです。
このようなときに内覧者が考えていることは、この家が大事に使われていなかったことと、見えない所も傷んでいたりするかもなどマイナスのイメージしかありません。
お部屋の印象が悪いことで、内覧者は売主に不信感を抱き物件に購入後の不安を持ってしまうことになるのです。
もちろん内覧者も、リフォームや、少なくともハウスクリーニングを考慮している人も多いこともあり、現状汚れていても綺麗に出来ることは分かっています。
しかし、内覧の時には、「その家の印象」という、理屈では表現できない要素がかなり重要になります。
従って、マンションを売る場合、第一印象を良くするためにもまず出来る限り綺麗に掃除と整頓をしましょう。

その他マンション自体に問題がある

敷地が借地権

売却中マンションの土地欄に借地権と記載されている物件があります。これは土地が所有しているわけではなく借地であることを意味しています。
この借地の権利を「借地権」と言い、1992(平成4)年8月に「借地借家法」が改正されたため、借地権には従来の「普通借地権」と、改正後にできた「定期借地権」の2種類が存在しています。
売却中マンションの販売図面やチラシや広告の土地欄に「旧法」と記載があるのは、「普通借地権」のことで、「定期」とか「新法」と有るのは「定期借地権」になります。
築年数の古い【1992(平成4)年8月以前築】マンションには、ほぼこの「普通借地権」となります。
す。

騒音がひどいマンション

上の階の足音が聞こえたり、お隣などの部屋から喧嘩がひっこりなしに聞こえたりでトラブルになっているマンションがあります。
これらは騒音がひどいマンションと言えるでしょう。
音は人それぞれに感じ方が違います。よって一概に上階の足音が聞こえるからと騒音がひどいマンションとなるわけではありません。
不動産売却時に問題になるケースは、既にクレームが起きているとか、トラブルになっている、管理組合が巻き込まれていて訴訟に発展しそうなケースと言えます。
掲示板などにクレームを掲示していて、誰が発したか不明な場合には、ケースバイケースで対処しないといけないでしょう。
但し、マンションを売る場合では、もし気になる様であれば売却を任せる不動産業者の担当者に確認してみましょう。
適切なアドバイスをもらえるはずです。
隠すことは絶対にしてはいけません!。売却後に音が問題で売却したことが分かった場合、心理的瑕疵として損害賠償の対象になることもあるのですから。

事故のあったマンション

「事故物件」という言葉は、明確な定義はありませんが、一般的には自殺や殺人、火災など、人の生命にかかわる重大な事件が発生した物件のことを指します。
不動産売却時には事故のあったマンションはすぐわかりようになっています。
「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」などど備考欄に記載されているからです。
もし、「事故物件」であることを売主が隠して売った場合に、買主に購入後ばれた場合は大きな問題となり、その売買契約自体が解除され、しかも損害賠償までされることがあります。
そういう理由から「事故物件」は隠したまま売却することはできません。
また、マンションに事故があったかどうか、『大島てる』というサイトで簡単に調べることができるのです。
大島てる

間取の売却時アピール

家事効率の良い間取りは、家事動線(調理、洗濯、掃除をするときの動き)と、収納がポイントになり、明るい部屋がいくつ必要かによって選ぶ間取りが違います。
実際に使える広さや感じる広さ、生活の中で利用できる有効活用スペースは畳数だけで判断せず、部屋の形、窓の大きさ、ドア位置などの要素で違ってきます。

就学期を迎えた子どものいるご家庭では、家族とのコミュニケーション等が重要視され子育てしやすい間取りかどうかが判断基準になることもあります。

買い手が住まいに求める希望はどんなことなのか、このことを理解しアピールすればいいのですが、実際それをできる中古マンション売却時の営業マンはどれほどいるでしょう。
間取とは、実はさまざまな希望を叶えられる可能性のあることを知っていれば、その間取に合ったアピールができるのですが、しかし、ほとんどの広告や内覧時には生かされていないのが実情なのです。

マンション 売れない時代の到来

2018年までの勢いが無くなりそうなマンション売買市場ですが、2019年以降、本当にマンションが売れないことになるのでしょうか?
マンションの将来について、このままの日本の状況が続けば、売れない時代はほぼ間違いなく到来するでしょう。
日本の状況とは、人口減、世帯数減、空き家増です。しかも金利の低さもあり新しくたつ賃貸物件もとても増えています。
子供の減少により買い替え、住み替え需要も旺盛ではなくなりつつあります。
統計では、既に830万戸も空き家はあると言われています。
地方では、公団などが開発し分譲したマンションが空き家となり放置されている場所もあります。
これらのマンションはエレベータが無いなどの特徴があり、誰も買う人はいません。
相続が有っても固定資産税など税金を支払い続けることを考えた場合、放棄した方が良い場合もあり、既にそんなマンションがあちこちにあります。
このようなマンションは価格はあっても価値が無いのです。
売り出しても、3カ月も半年も1年も売れないマンションはたくさんあります。
仕方なく売れないから値下げしても、それでも売れません。
値下げには住宅ローンなどの残額も多大に関係していることから限界があります。
都心では新築も価格高騰しすぎて売れなくなっています。
さて、これからのマンション市場はどうなるのでしょう。
日本の構造的な問題は、ちょっと政策をいじったところで、もうどうすることもできない状況迄来ているともいえるかもしれません。