2019年7月以降からの不動産市況を考える

☛中古マンション売却は、7月の今が好機。 と言うより、なるべく早く売却活動すべきです。
☛一戸建ての売却も、早く売却活動を始めましょう。
但し、例年7月、8月は売買市場は止まります。

従って、中古マンション、中古一戸建てなど中古住宅の売却は、7月、8月はいったん保留にして、9月以降売却活動を始め、今年いっぱいまでには成約し終えるという行動が良いでしょう。

その理由は、既に決定済みですが10月消費税が10%へ増税されます。
その影響をもろに被るのは、やはり新築マンションであり、新築戸建てとなります。
不動産会社の売るこれら建物には消費税が現行8%でいいものが、10月になると10%となることから、市場の停滞感が半端ない状況となるでしょう。
政府は、この状況を打開するため、いろいろな政策を出し、停滞することを止めようとするでしょう。
しかし、それら政策は一時的には機能するものの、時の経過とともにその効果も薄れ、徐々に停滞することが過去の動きから読み取れるのです。
そういうことから、政府の景気刺激策が打たれる初期の10月以降、今年いっぱいまでは中古マンションや中古一戸建てもその景気刺激策に引っ張られ活況となることが予測できるのです。

しかし、来年2020年7月24日から8月9日までの東京オリンピックが終わる頃には、不動産市場の停滞感は半端なくなっているものと思われ、その解決策も無く、しかも私たちの心理も浮つき感が無くなり、人口減、世帯数減、家あまり状況など停滞感も重なって、不動産市場は悪化することとなるでしょう。
もう一度言いますが、不動産市況は不動産市場を後追って表します。

クルマ市場の変化が知らぬ間にセダンからハッチバックに変わったように、また所有から利用へ価値が変わったように、マイホームも新築から中古へ、更に所有から利用へとシフトすることが予測されるのです。

これから先、市況が良いのはいつ?

ハッキリ言いましょう。
売却開始するには、既に遅過ぎ感が有ります。
市況が一番良かったのは、2017年から2018年11月まででした。

しかし、市場は生き物です。市況はその市場によって左右されます。
今日、米中貿易摩擦、イギリスのブレグジット、北朝鮮の核兵器問題、韓国との摩擦、政治の停滞問題など不動産市況にとって思わしくない状況があります。
世界情勢、日本情勢がとても速く動いていて安定していないときなど、未来に不安な要素が立ち込めているときは、なかなか動けるものではありません。
但し、このような時に動き成功する人がいます。
あなたは、さて、どんなデータを用い、どう動きますか?
  
 ☛ アベノミクス開始から、令和元年6月度までの不動産市場の動向

実は、今、日本における不動産市況は、東京23区のうち文京区、港区3A地域、千代田区、新宿区など都心では活況ですが、江東区湾岸地域、港区湾岸地域などやその他は衰退へ向かいつつあるという現実を、今日はお伝えさせていただきたく思います。

さて、今年2019年前半期、マンション市況、戸建て住宅市況は例年いなく活況と言われています。
レインズでも、この活況感がデータで表されています。
これらデータは、本当に現状を適格に表しているのでしょうか?

『1~3 月期の首都圏における中古マンション成約件数、新規登録件数ともに四半期としては1990 年5 月の機構発足以降、過去最高となった。』と発表しています。
また、
『1~3 月期の首都圏における中古戸建住宅成約件数は、四半期の件数としては1990 年5 月の機構発足以降、過去最高となった。』とも言っています。

確かに、コーラルでもその実感は有ります。
しかし、この状況は、いつかは収まり、その反動が来ることはとても近いと思える状況が現場では起こっていることをお伝えしたいのです。

今の活況なる市況はいつ終わる⁉

今の活況なる市況は、既に終わりかけています。その理由は、世界情勢がとても不透明だったからです。

その不透明な状況とは、5つほど大きなことが考えられます。

①米国のこと
②北朝鮮のこと
③EUのこと
④韓国のこと
⑤現政権のこと

しかし、その5つの不透明な状況は一時解決されたかのように見えました。しかし、6月今現在では解決には程遠い状況にあります。
これから先、日本が進む道によっては安定する場合も有れば、そうでもない可能性もあります。
さて、日本はこれから先どんな道を進むのでしょう。

①第一弾、米国トランプ大統領の動き
     今のところ日本にとって良好な関係。     

②第二弾、北朝鮮の不穏な動き。

③第三弾 イギリスのブレグジット問題。

④第四弾 韓国 文在寅(ムンジェイン)大統領の動き

⑤第五弾 消費税10%への増税のカウントダウン

大きな問題だらけです。
ここで確認してみますが、大きな問題とは、日本にとって大問題ことという意味です。
わたしは不動産を通して日本経済を見ていますから、不動産市況にとって良い悪いことと言い換えてもいいでしょう。

以上、第1弾から第5弾までのことは、おそらくこうなるだろうって皆さんも予測されていたと思うのです。

まず、戦争にはならないし、これからもならないでしょう。
しかし、中東では戦争気配がしますね。
しかし、東アジアでは戦争は無いでしょう。

理由は、アメリカ合衆国の政治は軍需産業が根を張り巡らしていて、これは北朝鮮も同じだと言うことです。従ってとても多くの軍事演習はする必要が有るでしょう。またそこにある危機的なことは好んですることもあるでしょう。
しかし、戦争したらおしまいなわけですから、することなどないわけです。
こんなこと、おそらく誰でも知っていることではないでしょうか。
日本も戦争を望んではいません。北朝鮮も同じことではないでしょうか。日本人が戦争を望んでいないことを言い表すかのように、安倍自民党は韓国をほぼ無視した政策を取り、北朝鮮とは無条件なる会談を模索しています。
ということで、日本は、今、とても不安定な状況にあると言うことです。
金融市場も安定したそぶりを見せていますが、ちょっとした未来は不安定でしかありません。

そんな中、少しでも高く売却するなら、今が最後の、本当に最後の大きなチャンスでしょう。
銀行金利は間違いなくこれから上がるはず、その時はいつかわかりません。しかし、必ず上がります。
この先、日本では住宅ローン金利も徐々に徐々に上がりますから、現在最も低いと言われる住宅ローンを固定金利で利用しようと思っている購入検討者が動きます。
また、新築マンションも在庫一掃が終わりに近づき、大幅な値引き商戦も無くなりつつあります。

従って、不動産、特に中古物件はマンションも戸建ても売るなら、今しかありません。
これが最後の大きな、とても大きなチャンスでしょう。

では、個別で状況を見ていきましょう。

実はこれから好機となる中古物件の販売時期

マンションと一戸建て住宅、1年間を通して一番高く売れる時期、安くなる時期があるって知っていますか?

新築はマンションも一戸建ても、どちらもおおよそ高い時期と低い時期の価格差が100万円ほどの違いとなっています。
これは中古マンション、中古一戸建て住宅もこのような傾向にありますが、新築ほど顕著な傾向ではありません。

なぜ、こんなことになっているか?なのですが、以下でその理由を考えてみました。

新築マンションが一番高いのは2月、安いのは6月

中古マンションが一番高いのは3月、安いのは新築供給により変動する傾向にある。

新築マンションは1年間を通してみた場合、12月から2月に売買のピークが有りこのとき一番高くなっています。しかし、ある理由のため6月が低い水準となっています。

新築マンションを販売するのはデベロッパーですが、このデベロッパーの経営年度を考えれば、何故2月が一番高く6月が一番安くなるかがわかるんです。
12月は購入者に3つの傾向があり、その3つを考えた販売戦略をとることが可能な時なのです。
その理由は、⓵税金優遇、②新年度を新居で迎えたい心理、③引越代など各種経費が一番安いからなどにありそうです。
しかもまだ決算には余裕が有ります。従って強気の価格で販売が可能なのです。

マンションが6月が一番安くなるのは、通常マンションデべロッパ―も3月は決算期のため売らなければいけない状況にあります。しかし、まだ無理をして成約するにはなっていません。
また近年、一般消費者(個人などの売主)が中古マンションの売却を2月から3月に持ってきます。その結果、中古マンション売却の旺盛な時期3月に無理して成約を目指すのではなく、4月末ゴールデンウイーク始まり前までに成約すれば良しという傾向が有ります。
従って、その時期までに売れ残った物件が、夏7月~8月どうしても反響が落ちる前の6月に在庫処分となるのです。
しかし、在庫処分の終わった9月の夏終わりから10月の秋にかけては新規のマンション販売が始まるので多少高くなると言う傾向になります。

日本では、今まではマンションも一戸建ても供給数とその価格の推移で中古マンション、中古一戸建ての価格が推移していました。
これはあまり質の良い住宅としてのマンションや一戸建てが無い日本の住宅地事情にもあったことも否めません。

しかしこれからは、この傾向は徐々に変化するでしょう。

実際大きな変化があります。それは近年良質な住宅供給が続いているからです。
特に1995年(平成7年)1月に発生した阪神淡路大震災の後、制震構造や免震構造など良質な住宅供給が見受けられます。
また、2000年の建築基準法改正以降はこれらの構造が一戸建て住宅での採用も増えています。これら2000年以降に建てられた物件が中古市場に出てくるようになったため、販売戦略を変えなければならなくなったとも言えます。
これからの新築マンションの価格も供給数も、中古マンションの動向により変動することとなります。

中古マンションは、年末から2月に向けてピークが来ています。これは、中古マンションの場合、売買契約から決済引渡しまでの期間が通常1カ月から3カ月程が平均なため、転職や就職、入学、卒業など人の移動が起こる3月の前が一番マンション購入者が増えるからです。

新築マンションの供給過剰で中古マンション売却者増加中

新築戸建住宅が一番高いのは12月、一番安いのは1月

中古一戸建て住宅が一番高いのは3月、安いのは新築供給により変動する傾向にある。  

新築一戸建ては、毎月の変動幅がバラバラに推移していて、一定の法則性がありませんが、それでも傾向を見ると、12月が一番高く、1月が一番低い水準となっています。

新築一戸建ての場合、3月末は多くのデベロッパーや建売業者(総じて開発業者と言います)が決算期です。
一戸建ての開発業者はマンションデべロッパーと違い、経営に体力がない開発業者がほとんどです。従って建物が完成して数カ月以内には、建設費を全額支払う必要があります。
万が一売れ残りがあると、その分は代金が入ってきません。業者は足りない分を借金してまで、建設費を支払わなくてはいけません。決算を良くしておかないと翌期の銀行からの借り入れが難しくなります。
その結果、「在庫処分だ。売れるだけ売ってこい!」となるのです。これがちょっと昔は3月初旬だったのですが今は1月末なのです。
もう一つ理由があり、最近になってマンションとの販売競合が多くなってきたということも否めません。

12月一番高いのは、まだ在庫処分のセールには早い時期であり、しかし購入者の旺盛な購入時期にあるからです。
その理由は、⓵税金優遇、②新年を新居で迎えたい心理、③引越代など各種経費が一番安いからなどにありそうです。
※住宅ローン控除は購入時期ではなく入居時期が基準となります。

中古一戸建ては中古マンションと同じ理由で高くなります。

消費増税と買い時の関係

消費税10%増税時期が2019年10月と差し迫ってまいりました。
あと4カ月後となったわけですが、消費税が増税される前はかならず駆け込み需要が起こります。
10%への増税は当初2017年4月の予定だったので、変更が発表される前にはやはり駆け込み需要が起こっていましたね。
駆け込み需要が起これば、住宅を販売する不動産会社も強気の価格設定をするため、価格水準は高くなります。
逆にそれを超えれば、住宅ローン金利も関係しますが価格水準は、地デジ後のテレビのように下がってしまうでしょう。

今、どう動くべきか

今、不動産開発業者は動いていません。
その理由はいくつかあります。

①新築マンション価格が高くなりすぎて在庫処分に躍起になっています。
②東京オリンピックなどで建築単価などの高止まりなため、新築マンションの新規物件が供給少へと向かっています。
③購入者心理が中古物件に向いているからです。
④政府が中古物件市場活性化策を実施しています。
⑤税制優遇が行われています。
⑥立地の面で中古マンションが新築マンションに勝っていることが多々あります。
などなど、その他にも個人レベルでリノベーション需要が旺盛になってきていることもあります。

中古マンション

今年2019年5月から6月はまだ売る時期ではありませんでした。
それは新築マンションの在庫処理が旺盛な時期だからです。
今年は2月から既に始まっていましたが、あまりに高騰した価格のため、なかなか捌き切れていない状況が有ります。
従って、この在庫処分セールは例年通り6月いっぱいまで続くでしょう。
在庫処分セールはもう終わっていますが、捌き切れなかった完成在庫は時間をかけて売る報告へ転じたみたいで、大幅な価格調整は今小康状態にあります。
その結果、中古マンション売却開始は7月以降が好機となるでしょう。
特に良好な地域は、品川区、大田区などの城南地区や、新宿区、渋谷区の城西地区です。
但し、場所にもよりますが、神奈川県や、埼玉県、千葉県下で駅から徒歩10分以上などの立地の悪い中古マンションは、需要自体がほぼ無くなってきているので、成約するのは思い切った価格を付ける必要が出てきています。

さて、どの場所が良く、どの場所がまだ待つべきかはコーラルへ査定依頼してみてください。

中古一戸建て

一戸建ては、9月以降からが旺盛な販売時期と言えます。
新築戸建ては4月末までで在庫処分セールは終わっています。残っている物件は魅力の無い物件か、あまりに高額過ぎて成約していない物件です。
5月から6月に一戸建て売買市場は動いていました。
しかし、夏はいったん休息します。
従って、これから売却活動するに一番良い時期は9月以降と言えます。
但し、郊外ではこれからも厳しい市況が続きますし、良くなることは無いので、売却するなら一刻も早くすべきです。



まとめ

最後に、マンションも一戸建て住宅も良い時期は2019年いっぱいと言えます。
それは、2019年10月には消費税10%増税時期となり、個人が持つ中古物件はほぼ消費税は掛かりません。しかし、新築物件はもろに消費税の影響を受けます。
消費税増税前に新築の駆け込み需要が起こるからです。
その後は、人口減、世帯数減により日本の不動産事情は一変するかもしれないので、今、どうなるかはこの場でコメントすることは控えさせていただきます。

これから最後の中古物件売却のチャンスですが、このチャンスいつまで続くかわかりません。

2019年6月27日
コーラル株式会社 市場調査部
宅地建物取引士 大久保一馬